企画論「思考の総量」
アイデアとは何なのか。
企画という仕事をしていると「アイデアってどうやって出すんですか?」という質問を受けたりします。
確かに、アイデアは重要ですし、天啓のように閃くこともあるのですが、多くの場合、そういった「エウレカ!」的なものではありません。
原研哉さんの言葉
デザインの大御所で、原研哉さんという人がいます。10年位前のインタビューで原さんに対して「良いデザインというのはどのように生まれるでしょうか?」という質問あったんですよね。
原 研哉(はら けんや、1958年 – )は、岡山県出身のグラフィックデザイナー。武蔵野美術大学基礎デザイン学科教授。株式会社日本デザインセンター取締役。
雑誌を読みながら、センスとかそういう話をするんだろうなって私は思ったのですが、原さんの回答は全く異なるものでした。
「思考の総量だけが、デザインの質を決める。」
そのモノゴトに関して、どれだけ考えたのか、だけがデザインの質を決める、という回答でした。
私はこれ以降、「思考の総量だけが、企画の質を決める。」と、原さんの言葉を少し変えたものを意識しています。
だから、冒頭の「どうやってアイデアを出すのですか?」という質問には、企画のアイデアは、考えて、考え尽くして、出すことが多いです。と面白みもなければ、かっこよくもない回答をします。
考えるということ。
考えるといっても、パソコンに向かって、難しい顔をしていればいい訳ではありません。いくつかの方法論を用いて考えます。
一つは、プロトタイピング手法です。
アイデアは多くの場合、曖昧模糊とした形で現れます。しかも「なんとなく良さそうな雰囲気」を持って。そのアイデアの正しい姿は、思いついた人もわかりません。
だから、夏目漱石の夢十夜で、木の中から仏像を掘り出すように、アイデアの形を確かめる必要があります。(私は、深い泉の底のほうに潜って取ってくるイメージなんだけど。)
自分は一番大きいのを選んで、勢いよく彫ほり始めて見たが、不幸にして、仁王は見当らなかった。その次のにも運悪く掘り当てる事ができなかった。三番目のにも仁王はいなかった。自分は積んである薪を片かたっ端ぱしから彫って見たが、どれもこれも仁王を蔵かくしているのはなかった。ついに明治の木にはとうてい仁王は埋うまっていないものだと悟った。
その際に、わからないなりに、一つの形(デザインであったり、モックだったり、タイトルだったり、編集記事だったり)を作ってしまうのが、プロトタイピング手法です。
そうすることで、これは全然違うとか、ここはこんな感じにとか、具体的なイメージが膨らんでくるはずです。そこで思考を深めていきます。
デザイン会社のIDEOもプロトタイピングをつかいますね。
もう一つは、論理構造の作成です。
ピラミッドストラクチャーとか、ロジックツリーとかかっこいい呼称はありますが、目的を頂点に、論理構造を作成していくだけの話です。
良い企画を作れるか否かは、端的に言えば、二つの能力に依存します。
一つは、ある課題を解決する方法を網羅的に洗い出す能力
もう一つは、選択肢の中から最適な選択肢を選択する能力
です。
この二つをもとに、論理構造を構成していきます。
例を挙げると、
「もてない男性が彼女を作る。」
という目的があったとします。まずはそれに対する課題を洗い出します。
たとえば、「スタイルを良くしたらいいんじゃない?」とか、「いや、いい車に乗っていたらいいよ。」とか、「いまどきの女性は、年収とか気にするらしいよ。年収アップだよ。」とかですね。これらは「もてない男性が彼女をつくる」ための解決方法案たちです。
この時に、全ての可能性を漏れなく、重なりなく、網羅しておくのが理想です。上の例も全部の可能性を網羅できていたらいいのですが、もしかしたら「口べたで、コミュニケーションができない」とか、「本当は男性が好き」とか、あったら困るな。。と思ったりします。
ここで最適解が漏れていたら、一番よい企画は生まれないことになります。この能力が、最初にあげた「ある課題を解決する方法を網羅的に洗い出す能力」です。
次に、幸いにも解決策が抜け漏れなくとも、その中から最適な一つを選ぶことができなければ意味がありません。
「いい車にのってればいいね!」なんて思って、ローンで車を買ってみたものの、「どうやって車に乗せるのさ。。」という結論になるかもしれません。
解決策の案を洗い出せることと、その中から最適な解決策を選び出せるのは、全く異なる能力です。
またひとつの解決策を選択したら、またそれを実現する方法論をすべて洗い出し。。と、永遠に続いていきます。
論理的に解決策を考え、それをプロトタイプを作りながら検証し、また思考を深める。
それを静かに、繰り返していきます。
まとめ
◯ 企画の質は思考の総量できまる。だから考えて、考えて考え尽くすしかない。
◯ 考え方には方法があって、それは下の二つ。
◯ 論理的思考での戦略オプションの抽出&最適解の選択
◯ プロトタイピングで実現化の検討◯ この単調な繰り返し。
単調かもしれませんが、この繰り返しの中で、あっと驚くアイデアを見つけられるかもしれませんよ。
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