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「哲おじさんと学くん(永井均)」を、もっと楽しむ数冊


「哲おじさんと学くん(永井均)」を、もっと楽しむ数冊 | six1ブログ双子

毎週日曜、日経新聞紙の「私の履歴書」近くに、すんごい面白いコラムがあることをご存知でしょうか?

もっともっと根本的な問題は、なぜこの僕が存在しているのか、ってことだな。これも友達の一人に聞いてみたことがあるんだけどね、両親がセックスしたからだってよ、って言われてしまったんだ。そんなことが聞きたかったんじゃないんだけどね。

なんで僕は二一世紀の日本に生まれたの? 悠久の宇宙史の中で、七世紀でも二五世紀でもなく、二一世紀のこの百年ぐらいの間の世界だけが、なぜこんなふうに垣間見られるの? 他のところは暗黒で。これは特別の例外期間なんだよね? でも、そもそもなぜこんな例外期間があるの? それはなぜ二一世紀だったの? どうして日本なの?

(哲おじさんと学くん)第2話 僕が存在することの不思議さ より

毎週日曜日の日経新聞で連載されている「哲おじさんと学くん」という哲学コラムだ。実は、あまり大きな声で、面白い!と言えない人が結構な数存在しているのでは?と想像する。哲学の話題って、日常あまりしませんからね。

私は、大学卒業後の進路を考えた時、一度は大学院に行こうとした。永井先生に突然お電話をし、1時間以上、永井先生の哲学に関する質問をさせていただいた。当時、先生は金沢大学で教鞭をとっていたので、先生の元で学ぶために金沢大学を受験しようとも考えていた。電話の結果、先生に言っていただいた

「哲学はどこでも出来る」

という一言で、別の道を選んだが、まさか日経新聞で、永井先生の文章を毎週読める時代が来るとは。

※日経新聞の担当者が、きっと永井先生の大ファンなんだろう。

永井哲学を追い続け、かれこれ20年以上になる。永井先生が大学時代に書いた論文を大学図書館で漁ったり。今でも永井先生のカルチャー講座には時々出ている。

そんなわけで、日経新聞のコラムを読んで、「この先生面白い!」といた方のための読書案内を(いると思うのだけどなー)。

ちなみに、なんで「インターネットとビジネス」をテーマとしたシックスワンのブログでこのテーマを扱うか?というと、こうしたニッチな分野との出会いが出来るのはインターネットならではだと思うからです。


永井 均
(ながい ひとし、1951年11月10日 – )は、日本哲学者日本大学教授。自我論・倫理学などを専門分野とする東京都出身。

 

で、永井先生の哲学を楽しむための数冊。

ウィトゲンシュタイン入門 (ちくま新書)

「語りえぬものについては、沈黙しなければならない」という言葉が意味してる事を、本当の意味で捉えようとした考察。冒頭にあげた「なぜ僕が生まれてきたのか?」という問いが本当に示そうとしている意味の伝わらなさが、どういう意味を持つのか?ということを表現しようとした1冊。この本読んで、私は、救われた気がしました。自分が言いたくても言えなかった事は、結構難しい事だったからなんだなーと。

子どものための哲学対話 (講談社文庫)

「子供のための哲学」とあるけれど、別にやさしい問題を扱ってるということではない。永井先生は、哲学はそもそも子供しか出来ないとも言っていたと記憶してるし。大人の常識とか当たり前という前提を獲得してしまう前の、世界が生のまま立ち上がっている子供の目からみた疑問を通して、世界の不思議さを味わえる1冊。

これがニーチェだ (講談社現代新書)

永井先生は、ニーチェを通し、欺瞞に対して誠実に向き合う思考方法を教えてくれる。まあ、こうした思考方法を身につけたからといって、世の中生きやすくなったりはしないけど、面白く生きれるようになると思う。永井先生の本は、全般的に人を選ぶけど、ニーチェを題材にした本はもっとそうかも。でも、面白い。

マンガは哲学する (岩波現代文庫)

これは全員にオススメできる。哲学書なんだけど、普通に漫画好きな人が読んでも、唸れる漫画評論集。この本の中で紹介されてる漫画は、どれ読んでもはずれなし。ここでは別になるけど、先生に勧められて読んだ「ムーたち」という漫画もスゴかった。

<私>のメタフィジックス (勁草書房)

多分、高校生の頃に、 生まれて初めて読んだ永井先生の本。難しかったけど、「あーやっぱりこの問題考えていいんだ」って肯定された記憶がある。人生を変えた1冊なんで、ここに上げておく。多分、20年以上前の話だからスゴいよなー。

これらの本の中から、気になった本があれば手にしてもらいたい。こうした諸問題を眠れぬ夜に考えてしまう人には、とても良い対話の相手になるはずだ。

永井先生のスゴいところは、「私の思索はまだ始まったばかりであり、自分自身、その思索がどこにいくつくのかはまだ分かっていない」という事を、さらっと言えるところだ。一読者として、永井先生の思索が、どのような方向にいくのかは楽しみでしょうがない。永井先生の思索と、村上春樹さんとエヴァンゲリオンをリアルタイムで経験できる事。それは、私にとって、今という時代に生きる大きな楽しみの1つだ。

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カルチャー

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Written by 鈴木 康孝

エン・ジャパン株式会社設立時から、コミュニケーションやプロモーション領域を担当。ブランドコミュニケーション室長、プロモーション本部長を歴任し、現在はディレクター。横須賀生まれの阿佐ヶ谷在住。今年の目標は、お酒と上手に付き合う事(飲みすぎない)。尊敬する人、村上春樹さんと永井均先生。HUNTER×HUNTERの再開を何よりも楽しみにする39歳。

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