企画論「語られるべき物語」
iPhone4Sに対する失望
iphone4Sは結果として、過去のどの端末よりもうれるiPhoneとなるのですが、プロダクトが発表になったタイミングでは、それほど評価の高い端末ではありませんでした。どちらかといえば、iPhone4とそれほどかわりのない端末という印象であり、ソーシャルメディア上の多くの人のコメントも同じようなものでした。
当時の記事をみて、その様子がわかります。
投資家たちは今日のTim CookのAppleイベントに心を動かされなかった。今日(米国時間10/4)のイベントにiPhone 5の発表がなかったことで、クパチーノに拠点を置くこの会社は、株価を下げた。Apple株は、374.57ドルで寄り付き、一時は355ドルまで下げた後もち直した。大いに期待された(かつ誇大宣伝された)iPhone 5を披露しないことがわかった後、Appleの株価は20ポイント近く下落した。
ですが、数日後のスティーブジョブスが闘病の末に病死するというニュースが伝わるとその状況は一転します。iPhone4Sは、「for Steave」の事だという噂が流れたり、「スティーブジョブス追悼のためにも手に入れないと!」という声が聞こえてくることになります。
スティーブジョブスの自伝の発売もそれに拍車をかけ、結果として、iPhone4Sは過去のどのiPhoneよりも売れたiPhoneになりました。
この件で私が思ったことは、商品というのはそのプロダクトも重要だが、それ以上に「商品がもつ文脈(コンテクスト)」の影響が大きいということです。
● 商品が語られるべき物語が必要
Yahoo!創業時のデビッドファイロや、ジェリーヤンが、Yahoo!のサーバをスタンフォード大学の中にあるトレーラーの中においていた逸話も、当時Yahoo!を魅力的にみせた物語の一つでしょう。
(Yahoo!は創業時から広報の専門家を雇っていて、その人の演出という話も聞いたことがあるけど、いずれにせよ有効だったということには間違いがありません。)
一方、Googleも、リクルーティングのために、ファーストクラスのチケットを教授の名前で送ったとか、その手のエピソードには事欠きません。
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任天堂がやっているHPのコーナー「社長が訊く」』も、まさに物語を語るコンテンツだと思います。
社長が社員にインタビューすることで、その開発ストーリーをもって共感させるとというコンテンツです。(一方で、こういう方法論がとられられるのは、ゲームユーザーって高齢化しているんだろうなって思うのですが。)
糸井重里さん繋がりでいえば、ほぼ日の商品を買ってしまうという人がいるならば、きっとそれもホームページで語られる物語が影響をあたえているはずです。
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焼酎「いいちこ」の広告も、人の心の中の物語を喚起するクリエイティブディレクションですが、20年以上にもおよぶ「いいちこ」のアートディレクターをしている河北秀也さんは
「僕は、ブランドとは企業がつくるものではなく、その製品やサービスの価値を認めてくれる「人の心の中に生れるもの」と考えています。」
と話されています。
● ソーシャルメディアにより高まる物語の重要性
昔から、商品がもつ物語性は重要でしたが、近年その重要性は高くなっています。
ソーシャルメディアで「共感」、「感嘆」の伝播のスピードはものすごく早く、それは単なる事実が伝播するスピードを圧倒的に凌駕します。
今の時代、商品(サービス、企画)にとって、物語性というのは不可欠であり、企画者は商品の特徴を伝えると同じくらいの重要度をもって、その商品の物語を語らなければなりません。
企画にはその企画が「語られるべき物語」が常に必要である。すごくシンプルなことですが、このソーシャルメディアが一般化した時代には、何よりも重要なことだと思います。
企画(サービス)における物語の重要性っていうのはあまり語られることが少ないので、整理してみました。
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