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企画論 「選択という技術」


企画論 「選択という技術」 | six1ブログ 

 

企画をするということは、「可能性を洗い出し、そこから選択をする」というプロセスだと考えています。

以前、企画論「思考の総量」というエントリーで、企画に必要な能力を紹介していますが、その中でも「選択」を重要な項目の一つとしてあげています。

良い企画を作れるか否かは、端的に言えば、二つの能力に依存します。

一つは、ある課題を解決する方法を網羅的に洗い出す能力
もう一つは、選択肢の中から最適な選択肢を選択する能力

※ 企画論「思考の総量」

言ってしまえば、「選択」というのは、企画という存在にとって、本当に基本技術の一つになります。

基本といっても簡単なものではなく、「ビュリダンのロバ」の例えがあるように非常に難しいものだったりするので、困りものです。

ビュリダンのロバ

おなかを空かせたロバが、左右2方向に道が分かれた辻に立っており、双方の道の先には、完全に同じ距離、同じ量の干草が置かれていた場合に、ロバはどちらの道も進まずに餓死してしまう(抜粋)

 

ということで、今回は「選択」、選ぶということに関してです。

選択する際のポイント
● 選択肢を疑う
● 優先順位は大まかにグループで考える。
● 正解はわからない。(だからこそ熟考する)
● どちらを選んでも構わない。

 

● 選択肢を疑う

A、B、Cのどの選択肢を選んだらいいのかを悩んでしまう。こんな状況があるとします。

Aがいいのか、Bがいいのか、Cがいいのか。私にはすぐにはわかりません。ですが、残念ながら、このケースで意外と多いのが、「すべての選択肢が適切ではない」というケースです。

全ての選択肢が過っている場合、どれを選ぼうと、たどり着きたい目的には達することができません。「どの選択肢を選ぶか」ではなく、選択肢それ自体の正しさを疑うというのは、いつも考えないといけないことです。

 

● 優先順位は大まかにグループで考える。

「優先順位をかんがえろ」っていう言葉はよく聞くなーと思うのですが、個人的に、「優先順位」という言葉をあまり重視していません。

例えば高級フレンチのお店があったとします。

「味にこだわるべきか」
「価格を抑える努力をするべきか」

という選択肢があったら、きっと「味にこだわるべき」なんでしょうね。わかりやすい。

じゃぁ、次は

「料理に見た目(盛り付け)は重要である」
「おもてなし・接客が重要である」

という選択肢はどうでしょう。

これは非常に難しい問かもしれません。

ですが、よく考えてみると、高級フレンチのお店では両方を実現する必要があり、この項目の優劣を決める必要はあまりないのではないでしょうか。

世の中には、「優先順位をつけるのがものすごく明確なもの」と、「困難なもの」があり、「困難なもの」は優先順位を付ける必要がないケースがほとんどです。

優先順位をつけろという言葉は、「優先順位が明かに低いものを排除しなさい」という意味であり、全てを順列立てなさいと言う意味ではありません。

端的にいえば、優先順位は、グループ単位で考えるので、十分です。

 

 

● 正解はわからない。(だからこそ熟考する)

AとBという選択肢のうち、Aを選んで成功したとします。「Aを選んでよかった!」と思う私たち。

でも、よく考えみると、以下の可能性があります。

● Aもある程度の成功をしたけど、Bのほうがもっと成功した。

逆に、Aを選んで失敗したとします。「Bを選んどきゃよかった!」と思う私たち。

でもこちらも以下の可能性があります。

● Aも良くなかったが、Bを選んでいたらもっとひどいことになっていた。

結果として、「AとB、どちらの選択肢を選ぶべきだったのか。」という質問には、だれも答えることができません。(それは存在しない現実の話だからです。)

つまり、私たちは、どんなに考えても、「正解」を手に入れることはできません。だからこそ、「正解に一番近いと考えられる仮説」を、思考を駆使して模索していきます。

全ての選択肢が「正解」の可能性があることを頭に置きつつ、謙虚な姿勢で全ての選択肢を検討していってください。

精神論的な話になるのですが、正解はわからないという事実を胸にしまいつつ、企画者は自信をもって提案をしなければいけませんし、そのためには、その自信を得られるほどの「思考の繰り返し」が必要です。

 

● どちらを選んでも構わない。

「自分の限界まで考えたけど、もうダメだ!!わからない!!」と、どうしてもAとBを選ぶことができなかったとします。

個人的には、この場合は、どっち選んでもいいんじゃないかな。って思います。

例えば、私が車を購入するとします。

その際に、車の種類って、もう膨大な数があるとおもうんです。トヨタ、ホンダ、日産、ベンツ、BMW等々、様々なメーカーがありますし、車ごとの様々な用途もあります。スポーツカーから、エコロジーに適している車、大人数乗れるファミリーカー。色もあると思います。

そう考えると、そこにはもう何千通りの可能性があることになります。

結果として、プリウスともう一台の車で悩んでいるとします。

私が言いたいのは、その時点で膨大な数の選択肢から選抜された2台ということなんです。

甲子園決勝の2校みたいなものです。どっちが勝つかわからないけど、どっちが勝っても構わない。そんな2台ではないでしょうか。

もう死ぬほど考えてわからなかったら、そのいずれを選んでもかまいません。

重要なことは、その選択を自分自身で納得して、その選択肢を信頼しつづけるということです。

 

改めてですが、今回は、「選択」に関して、整理しました。

選択する際のポイント
● 選択肢を疑う
● 優先順位は大まかにグループで考える。
● 正解はわからない。(だからこそ熟考する)
● どちらを選んでも構わない。

選択って、企画者じゃなくて、日々行なっていることだと思います。でも、企画の人間はこんな感じで考えてます!という情報が、参考になると嬉しいです!

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※ 企画論の過去エントリー

○ 企画論「失敗の類型」
○ 企画論「語られるべき物語」

 企画論「物語としての企画書」
○ 企画論「量は質に転化する」
○ 企画論「思考の総量」
○ 企画論 「バカって言われたい」
○ 企画論「フォーカス(コンセプトを絞り込む)」

 

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クリエイティブ , ビジネス , マーケティング

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Written by 福田 智洋

1974年 群馬県高崎市生まれ。 明治大学法学部卒業。 杉並区阿佐谷在住(20年目)。群馬県高崎市出身。 大学卒業後、エン・ジャパンの創業メンバーの一人として勤務し、入社以来インターネットのサイト企画・事業企画責任者を歴任。2013年4月、シックスワン株式会社を創業。 https://twitter.com/tomohirof

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